行政書士の試験科目が多く範囲も広いため、どこまでそして、どれだけ勉強していけばいいのかわからない・・・
私も行政書士の試験勉強を開始した当初は、同じような悩みを抱えていました。
科目別の特性が知りたい・・・
戦略的に合格するために、どんな科目を取って、捨てるか判断したい・・・
これから行政書士試験を受験しようと考えている皆さんは、多かれ少なかれ以上のような悩みをもっています。
筆者も今までに同じようなことで悩みましたので、とても共感します。
筆者は、1回目の受験で失敗し、2回目の受験において、科目ごとに特性を分析して臨んだ結果、やっと合格することができました。
そこで体験談を交えて、各試験科目の概要やポイントとなる科目をまとめました。
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目次
行政書士の試験科目の概要
行政書士試験の試験科目の概要についてお伝えしていきます。
行政書士の試験範囲と出題(問題)数
行政書士試験の試験範囲は、
- 行政書士の業務に関し必要な法令等
- 行政書士の業務に関する一般知識等
の2つに分かれ、合計で60問出題されます。また、配点は択一1問につき4点、記述式では1問20点です。
それぞれを詳しくご紹介していきます。
行政書士の業務に必要な法令等
内容
憲法、民法、行政法(行政法の一般的な法理論、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法、地方自治法を中心とする)、商法(会社法含む)、及び基礎法学の中からそれぞれ出題し、法令については、試験を実施する日の属する年度の4月1日現在施行されている法令に関して出題する。
問題(出題)数
法令科目では、合計46問が出題されます。
そのうち、五肢択一が40問、多肢選択が3問、記述式が3問です。
行政書士の業務に関連する一般知識等
内容
政治・経済・社会、情報通信、個人情報保護、文章理解
一般知識では、時事的なニュース問題や、個人情報保護法、最後に読解問題が出題されます。
出題(出題)数
全部で14問出題されます。
このうち、政治・経済・社会は7~8問、情報通信・個人情報保護は3~4問、文章理解は3問です。
一般知識科目で後述しますが、14問中6問を取らなければ足切り(不合格)となりますので、要注意です。
行政書士の科目別
筆者が勉強して感じた個人的な難易度になりますが、
の順番になります。
商法・会社法が一番難しいのは、条文が多すぎるからです。法律を勉強するうえでの基本となる条文がなんと1000条以上あります。
そのため、全範囲を勉強するだけで1年かかってしまうような感覚になりました(汗)
商法・会社法の条文問題は複雑な箇所を問われているわけではないのですが、行政書士試験の場合どうしても他科目のウエイトが大きい為、たった5問(20点)しか出題されない商法・会社法に時間をかけるのは効率が悪く、全然時間をかけないから(得点することが)難しいのです。
商法・会社法は難易度は高いものの、行政法などのメイン科目と比べると、行政書士の試験合格を考えたときに重要度が低い科目であるとも言えます。
行政書士の勉強時間
おおよそ短いサイトでは約300時間、一般的なサイトだと約800時間、長くて約1000時間です。
計800時間以上というのは、1日平均3時間の勉強時間で、勉強できない日も考慮すればおおよそ1年近くかかる計算になります。
筆者が実際に行政書士試験に合格までに要した時間
筆者は法学部出身で大学でも勉強し、さらにその間に独学で2年(1回目は不合格になってしまったため)かけて合格しました。
1回目の受験まで1日あたり4時間ほど、2回目では1時間でしたので、1日あたり平均して2時間勉強し、合計で1000時間ほど勉強しました。
しかし、試験勉強はいつも順調に進行するわけではありませんでした。勉強時間をかけたからといって、過去問の点数があがるとは限らなかったのです。
筆者は、一回目の不合格の結果を受けて、二回目は集中して勉強しようと考えました。ですので、予定が色々と忙しくなってきたのもあり、毎日の隙間時間を使って勉強しました。
隙間の短い時間(1日合わせて1時間くらい)だけ勉強するので、集中力も持続し、結果的に合格できました。
時間ベースではなく、勉強の質をいかに高めるが合格には重要
大事なのは長くだらだらとした勉強時間よりも、短くて集中できた勉強時間です。しかし、いくら勉強時間が短くても、行政書士試験では多くの知識を学ぶ必要があります。
そこで、少なくとも初学者は、1年間かけて1日2時間程度は高い集中力をもって勉強することが必要です。
つまり、
- 365日×2時間=730時間は最低限確保
が大事です。
ネット上などでは、「初学者が3ヶ月で合格した」、「このテキスト1冊で合格できます」という情報も数多くありますが、筆者自身の経験上では、行政書士試験の合格はそんなに甘くないことは勉強を開始する前に知っておきましょう。
行政書士試験の択一試験でキーポイントとなる5つの法令科目の正体
行政書士試験では、行政書士の実務で必要な法令等から主に
の5つから出題されます。
憲法
問題数・配点
例年択一で5問、多肢選択で1問出題され、配点は28点です。
全体300点の中で約1割を占め、行政法、民法に次ぐ3番目に高い科目になります。
行政法や民法に比べれば小さな配点ですが、合格を決める科目になるため、手を抜くことはできません。
憲法はすべての法律の根幹にあたります。国家権力からいかに国民の権利を保護するのかを定めたものです。とくに三権のうちの行政権を拘束するので、行政法の勉強にも深くかかわってきます。
出題範囲
憲法はおもに
- 人権(1条~40条)
- 統治(41条~103条)
の2つで構成されています。
人権分野
国民に保障される基本的人権、その保障の限界についての内容が判例を中心に出題されます。
そのため、代表的な判例をしっかり勉強して理解することが必要になります。
そして、判例を勉強する際には、その事件の結論だけでなく、結論に至った理由(プロセス)の理解が重要です。
結論だけを抑えるよりも時間はかかりますが、憲法の深い理解にもつながりますし、もし理由を変えて出題した場合(ひっかけ問題)にも対応できるようになります。
統治分野
国会・内閣・裁判所・天皇などの条文知識がよく出題されます。
まずは過去問で出題された条文を確実に覚えることで、点数を固めていきましょう。
憲法で獲得すべき目標点数
憲法での目標点数は、6~7割を目指しましょう。
憲法は行政書士試験の中では比較的難易度が低く、基本的な問題が出題されます。
ですので、過去問で出題された知識をしっかりとアウトプットすることができれば、6~7割は確実に取れます。
逆に言うと、6~7割が取れないということは、過去問演習による知識の定着がまだまだということになります。
また、憲法は序盤(基礎法学2問の次から)に出題されるため、見たこともないような難しい問題で受験生を揺さぶってきます。この揺さぶりに引っかかってしまうと、本来の実力を発揮できず試験終了してしまう可能性があります。
そのため、本試験では、確実に取れる問題はしっかり自信もって解きましょう。
と言うのも、筆者は実際にこの経験をしているからです。
筆者の失敗談
憲法が得意中の得意科目だったので、試験では満点を取るつもりでいました。
しかし、本試験では、必ずと言っていいほど初めて見る問題が出題されます。
筆者は完璧を目指すあまり、解けなかったショックをかなり引きずってしまい、残りの問題をどう解いたのかもあまり覚えていませんでした。
後で分かったことですが、難しいと感じた問題はその他多くの受験生も正解できていませんでした。この事実を知った時に、得意科目だからと気負いすぎたことが行政書士の試験不合格につながってしまったと感じます。
失敗を経験したから言えること
全問正解はもちろん、全ての問題を解く必要性も全くありません。
重要なのは平均的な難易度の問題(過去問で出題された判例や条文問題)を確実に解く実力を身につけることです。
これさえできれば、安定的に6~7割の得点を見込めるようになります。
行政法・民法と比べればかなり配点が小さいため、憲法ばかりに時間をかけすぎないように注意しましょう。
行政法
問題・配点
例年択一で20問、多肢選択で1問出題され、配点は92点です。
記述式問題(20点)を含めると、行政書士試験全体に占める点数(112点)が4割近くにもなります。
行政法は最重要科目です。しかも、過去問の演習量に比例して得点は伸びますので、問題演習を丁寧にしていきましょう。
行政法で獲得すべき目標点数
目標は、7割(14、15問)を目指すようにしましょう。
行政書士試験は、180点取れれば合格であり、行政法と民法を満点取れば、軽く180点以上になります。
例えば憲法で満点取ったとしても、28点、商法はたったの20点です。
2科目合わせても、行政法に遠く及びません。
合格への最短ルートを考えるのであれば、行政法は多くの時間を割いて、基本知識をしっかり固め(6割ライン)、その上(7割以上)を目指す勉強が重要となります。
出題範囲
- 行政法の一般的法理論
- 行政手続法
- 行政不服審査法
- 行政事件訴訟法
- 国家賠償法
の5つに分けられます。
行政法は全て大事なのですが、優先順位をつけるとしたら、
- 行政手続法、行政事件訴訟法
- 行政不服審査法
- 国家賠償法
- 行政法の一般理論
となります。
「行政手続法」「行政事件訴訟法」「行政不服審査法」は、条文問題が中心となりますので、過去問で出題された問題は確実に覚えていきましょう。
行政法の一般法的理論
例年おおよそ7問出題されます。
判例問題が中心です。出題範囲としては、公法と私法関係、法の一般原則(信義則や平等原則など)、行政行為の類型、行政裁量、行政強制、行政代執行法などが挙げられます。
行政手続法
例年おおよそ3問出題されます。
出題範囲としては、行政手続法の条文問題、特に申請に対する処分を規定している5~11条や、不利益処分を規定する12~14条が頻出になります。他にも、理由附記や行政指導に関する判例も重要です。
行政不服審査法
例年おおよそ2問出題されます。
主に、行政庁への審査請求の方法について問われます。
近年に改正されたため、過去の審査請求との違いについてはしっかり押さえる必要があります。
判例は他の法律と比べて比較的少ないため、条文をしっかりと覚るべきです。
行政事件訴訟法
例年おおよそ5問出題されます。
出題範囲もかなり広く、条文問題から判例問題・事例問題と幅広い形式で出題されます。
条文問題では、3~6条の抗告訴訟の類型についてや、14条の出訴期間、25条の執行停止の要件、36条以下での無効確認訴訟での要件などが主に問われます。
判例問題では、取消訴訟における処分性、原告適格、訴えの利益がメインになります。その他の抗告訴訟での判例も多く、満遍なく出題されます。
国家賠償法
例年おおよそ2~3問出題され、主に1条と2条の判例が中心となります。
行政法勉強のポイント
行政事件訴訟法と行政不服審査法をセットで相互に比較しながら勉強すると、効率よく理解できます。
国家賠償法では、判例問題が中心となります。また、条文に規定されていない「損失補償」も出題されます。これも、過去問で出題された重要な判例はしっかりと理解すべきです。
行政法の一般理論は、特に行政行為からの出題が多いです。過去問からそれぞれの種類の作用を理解していきましょう。
地方自治法は、身近に感じられずまた条文数も多いため、勉強する際には非常に苦労する科目です。例年1,2問しか出題されませんので、力をいれて勉強する重要性は低いです。過去問で出題された知識を固めてきましょう。
これらのポイントから分るように、過去問を軸にした勉強をすることがとても重要です。
過去問の勉強方法の詳細は、行政書士の試験で過去問の上手な使い方・解き方を知らないと損しかないをご覧ください。
民法
問題・配点
例年択一で9問出題され、配点は36点です。記述式問題2問を合わせると、76点になります。
得点でみると、全体の約2割と行政法に次ぐウエイトを占めており、合格するためにはこの民法の攻略が不可欠になります。
民法で獲得すべき目標点数
択一での目標は、6割以上(5、6問)です。
民法は、前述したとおり、行政法に次いで配点が高い科目で重要なのですが、とにかく範囲が広く、暗記ではなく理解が必要な科目のため、勉強が大変になります。
まずは基礎知識をしっかり固めることが先決です。
出題範囲
民法の学習の中心は、
- 総則
- 物権
- 債権
- 親族・相続
の4分野です。
特に「債権」は例年3~4問と民法の出題割合の5~6割を占める重要な論点です。
総則
例年おおよそ2~3問出題されます。
94条の虚偽表示・95条の錯誤・96条の詐欺強迫の判例についてや、93条の心裡留保における条文問題がメインになります。
しかし、上記をストレートに問うのではなく、事例式にして問うのが特徴的です。99条以下での代理についてや、144条以下の時効における問題も多く出題されます。
物権
例年おおよそ2~3問出題されます。
177条の不動産に関する物権変動の対抗要件について、判例問題が多く出題されます。また、192条の即時取得についてや、295条以下の担保物権も出題されます。
担保物権は、選択肢の一つを組み合わせて出題されることが多いです。
したがって、留置権や質権、抵当権などは広く全般的に勉強する必要があります。
債権
民法のメイン分野で、例年おおよそ3~5問出題されます。
特に毎年といっていいほど不法行為分野(709,712,715,720)から1問、さらに724条の損害賠償請求権の消滅時効については記述式でも出題されています。
債権総論では、債務不履行についてや、債権者代位権、詐害行為取消権(記述式でも出題されます)がメインになります。
難しい分野になりますが、連帯保証も出題されます。
債権各論では、主に売買契約、賃貸借契約などの諸契約の判例問題が出題されます。
親族・相続
例年おおよそ1問出題されます。
主に親族分野での婚姻・離婚・親子関係についてが出題されます。
しかし、記述式で相続分野が出題されたケースもあります。
出題数は少ないですが、満遍なく勉強べき論点と言えます。
民法の勉強ポイント
民法の出題は、事例形式がメインとなるため、条文を暗記するだけでは問題を解けません。
得点を重ねるには、
- 事例で何が問題になっているか把握する【問題の所在】
- 適用できる条文・判例を考える【暗記した知識のアウトプット】
- 適用した結論を考える【適法か違法かの結論】
の総合力が要求されます。
単なる暗記した知識そのものではなく、持っている知識を具体的事例に「あてはめて」使えるかどうかが重要なポイントであり、記述式問題でも同じです。
他の法律科目は、②の暗記で問題が解けるようになっています。しかし、民法ではもう1段階「あてはめ」が存在するため、難しい科目であると認識されています。
しかし、「あてはめ」作業も、基礎的な知識の暗記がなければできませんので、過去問を中心に基礎知識を固めがまずは必要です。
商法
問題・配点
例年5問出題されます。おおよその内訳は、商法から1問、会社法から4問です。配点は20点です。
求められる学習量の割には、配点が小さく、得点効率の悪い科目です。
商法で獲得すべき目標点数
目標としては、5問中2問程度の正解で十分です。(ちなみに、筆者は全く勉強せず、全部同じ選択肢にマークして、1.2問を拾っていました汗)
試験範囲がある程度限定される本試験では、1,2問同じような問題が出題されることがあります。
時間に余裕がある場合は、過去問で知識をインプットし、しっかり正解しましょう。
出題範囲
商法は、民法の特別法になります。民法をしっかり勉強すれば、重なる判例もあります。また、大部分は会社法に移行したため、商法固有の問題も少ないです。
商法での主な出題範囲としては、1~32条までの商法総則の条文・判例問題になります。
会社法は、株式会社の設立・運営などに関する基本的なルールの理解が重要です。
特に、「株式」に関するルールと、各「機関」の権限や責任についての過去問の知識はしっかり覚えていきましょう。
商法の勉強ポイント
商法・会社法の学習においては、条文数が膨大なため、細かい知識をいちいち暗記していく必要はありません。先にどれだけ学習時間を割けることができるのかを決め、過去問から効率よく勉強していきましょう。
基礎法学
問題数・配点
例年2問出題され、配点は8点です。
基礎法学で獲得すべき目標点数
目標としては、1問正解で4点を取れれば問題ありません。
おおよそ1問が優しめ、もう1問が難易度が高いのが近年の傾向です。
出題範囲
法律関係・法令用語の基礎知識や、日本の裁判制度などが問われます。
また過去には昔の日本の刑法に関する問題も出題されました。とにかく幅広いのが特徴です。
基礎法学の勉強ポイント
基礎法学では、法学の「基礎」が出題されるため、この分野を専門的に学習するというのはとても非効率です。
年度によって出題される範囲も難易度も統一性がなく、勉強をつめていこうとすると、学習範囲が際限なく広がってしまいます。
深入りは厳禁であるため、他の法律の勉強をしつつ、過去問を見て、軽く知識をつけるだけでOKです。ただし、過去問で出題された知識だけはしっかり固めましょう。
行政書士の試験合格を確実にするための記述式の2科目を解説
行政書士試験での記述式問題は、全部で3問あり、合計60点であり、択一式問題に換算すると15問分、全体の2割にあたる超重要な科目にです。
しかも記述式は部分点が見込め、得点を確実に稼ぐことができるため、合格をより確実なものにするために得点源にすべき科目であると言えます。
択一問題と記述式問題は択一問題で学んだ知識がベースとなる
記述式問題のために新たな知識を入れなくてはいけないのか・・・
行政書士の勉強を始めた当初は筆者も思っていました。
しかし、試験勉強をしてみると記述式のためだけに新たに勉強すべきことはほぼありません。それは、行政書士試験の択一問題の対策が記述式の対策に大きく関連しているからです。
過去10年間の記述式問題では、「条文には何が書いてあるの?」「判例がどういっているの?」ということが問われているのがほとんどです。
そのため、記述式問題で問われる知識は、「条文」と「判例」ということになります。
つまり、注意すべきは、記述式問題は決して自分の考えや想いを書くのではないということです。
行政書士本試験で問われる条文・判例は「基本的」なものです。そのため、記述式対策としては、「基本的な」条文・判例を勉強して暗記すればいいのです。
したがって、択一や多肢選択式の過去問を徹底的に勉強していくことが、実は記述式問題に答えるためのベースとなる知識になるのです。
行政法
問題数・配点
例年1問出題され、配点は20点です。
出題範囲
過去10年で、行政事件訴訟法からの出題が7割で択一式でもメインとなる分野です。
勉強のポイント
難易度の高い問題が出題されることはあまりなく、過去の行政書士試験で出題されたことのある基本的な条文から問われます。
今後も過去行政書士試験で問われた「行政事件訴訟法」からの出題が考えられますし、対策としては択一を勉強することで十分対応可能です。
民法
問題数・配点
例年2問出題され、配点は40点です。
出題範囲
記述式が始まった当初(平成18年)の5年間は、債権分野からの出題に偏っていました。
しかし、最近では、総則・物権・債権・親族相続からバランスよく出題されています。
勉強のポイント
債権法分野からの出題が約5割で、そのうち債権総論が半分以上を占めています。
債権総論は民法の中では抽象的で理解するのが難しい分野なのですが、だからこそ、民法の理解を試すために出題しやすい分野だといえるでしょう。
民法の記述式問題の出題内容は、平成19年問題45の正当防衛のように、過去、択一で出題されていない問題も出題されていたりするので注意が必要です。
基本的には条文・判例の知識を聞いていますので、択一の勉強を中心が効率的です。
行政書士試験の一般知識科目について
一般知識科目は、全部で14問出題され、56点です。全体300点のうちの約2割にあたります。
行政書士試験は2006年度から新試験制度に移行しています。
移行後は、法令重視の試験に変化したのですが、一般知識科目は合格基準点(14問中6問24点以上)が設けられており、これに達しなければ不合格となってしまいます。
つまり、一般知識もおろそかにすることはできないのです。6問は必ず取りましょう。
しかし、勉強の中心はあくまでも300点中244点を占める法令科目であるため、一般知識科目にはあまり時間をかけず、効率よい勉強ができかが鍵です。
政治・経済・社会
問題数・配点
例年7~8問出題(配点28~32点)され、半分の3~4問は獲得したいです。
時事的な知識を身につけるためには、普段から新聞やテレビのニュースに対して自分なりにアンテナを張り巡らせておくことが必要です。
出題範囲
- 政治
- 経済
- 社会
の3つに大きく分けられます。
政治
主に世界各国の政治制度(議院内閣制、大統領制等)、日本の選挙制度、過去の行政改革などが出題されます。
過去問を演習していればどの分野がよく出るのか把握できます。また、関連分野についてはニュースや新聞で周辺知識をつけましょう。
筆者は電車乗っているときにスマホやポッドキャストでニュースを聞くことで知識を得ていました。
経済
主に日本及び世界各国での財政問題や金融政策の基本的な問題が出題されます。
筆者の場合は、上記の政治を勉強すると同様に最近のニュースのチェックと、新聞で金融政策の解説やそれに至るまでの歴史過程も特集で分かりやすく掲載されるため、毎日朝起きたときに目を通していました。
社会
上記に挙げた以外の社会問題、すなわち社会保障制度や環境問題などを素材とした主に時事問題が出題されます。
この分野ではとくに、日ごろから時事に関心を持っているかどうかが結果に表れます。本試験では何が出るのかについてはほとんど予測できません。
時事に関心がなかった方は、まずは自分の一番好きな分野(筆者はスポーツですが)についてニュースをチェックすると、情報収集する癖がつきます。
そこから徐々に、現在の社会問題についても見るようにしましょう。
情報通信・個人情報保護
問題数
例年3~4問(配点12~16点)が出題されます。1~2問はとれるようになりたいです。
出題範囲
社会のIT化が急速に進み利便性が向上する反面、情報漏えい等の問題も増加しています。
こうした社会の変革期に対応するためには、この分野の知識は行政書士にとって必要不可欠だといえるでしょう。
行政機関へのオンライン申請や、お客様の個人情報の取扱い、独立後の事務所のホームページ作成事務において等、情報通信・個人情報保護の分野は合格した後の実務において必ず役立つ知識です。
- 情報通信
- 個人情報保護
の2つです。
情報通信
インターネット等の情報・通信技術に関する基本的な知識・用語などが出題されます。
筆者は、過去問のほかにも、総務省のサイトから情報通信用語を軽く見ながら勉強していました。
個人情報保護
主に個人情報保護法、行政機関個人情報保護法が出題されます。
特に個人情報保護法は、最近大きな改正があり、条文の用語の定義をおさえておく必要性は高いです。
基本的には過去問で聞かれた知識をしっかり固めることが重要で、筆者は自分の個人情報がどのように保護されるんだろうとか、この条文で本当に大丈夫なのか、というように当事者意識をもって勉強しました。
問題数
例年3問出題(配点12点)され、3問ともすべて正解したいところです。
出題形式として、並べ替え型と空欄補充型があります。
文章理解については、実際に問題を解いて、問題慣れしていくことが大切になります。
本試験では、最後の3問になるため、時間切れにならないように、普段から制限時間を意識して演習していきましょう。
まとめ
行政書士試験の試験科目は多岐にわたるからこそ、今回お伝えした各科目の特性やポイントを押さえた勉強をすることが、とても重要になっていきます。
裏を返せば、行政書士試験の各科目の特性やポイントを押さえて勉強を開始できれば、それだけでライバルよりも一歩リードしていることに他なりません。
後はあなたがやるかやらないか、どちらを選ぶかだけです。