独学

行政書士の独学合格に導く過去問の最強の解き方【これだけ抑えればOK】

行政書士の過去問の使い方

行政書士の過去問をなんとなく解いているだけだと、答えを覚えてしまってどう活用すれば良いのかよく分からない・・。

行政書士の試験は法律科目4つに一般常識科目と覚えることが膨大で、相当な記憶力正しい勉強方法が必要になります。

間違った勉強法で学習をしてしまうと、行政書士試験は大失敗に終わります。それは、予備校に通い、学習ノウハウが詰まった教材を使用している・いないに関わらずです。

これから行政書士試験を受ける人が少しでも効率よく学習できるように、過去問がどれだけ重要なのか、過去問をどのように利用していけばよいのか具体的な解き方をご紹介していきます。

本記事をお読みいただければ、究極にシンプルでありなおかつ王道な勉強法である過去問の演習によって効率的に地力を養成するノウハウを知ることができるようになっています。

ぜひ、過去問中心の勉強法によって、行政書士試験における合格への階段を駆け上がっていってください。

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第5章の過去問の活用法は社労士に合格するために知っておかないと損する重要知識ですので、資料請求【無料】して効率よく情報収集しましょう。

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行政書士試験で過去問がなぜ重要なのか?

行政書士試験で過去問が重要なのは、過去問の有効活用こそが合格への一番の近道だからにつきます。

配点の高く膨大なボリュームである法律科目の

4つ、さらに一般常識科目からも幅広く出題されるため、覚えるべき内容はとても多いです。

特に法律科目は膨大な量を理解かつ記憶しなければならないこともありで、テキストベースでの勉強が中心になりがちです。

ただ、残念なことにテキストの知識を覚えたらといって、本試験で出題されなければもちろん得点できません、テキスト通りに問われるとは限りません。

テキストを隅から隅まで覚えることが必ずしも効率よく点数を獲得できるわけではないのです。

なぜなら、行政書士の試験科目はかなり多いですから、テキストをインプットして、過去問を解いて、解説を読んで・・・だと、まず間に合いません

試験によく出ている問題から先に解くことで、頻出問題を取りこぼさないようにすることが重要です。

頻出分野の把握によって時間対得点効果を最大限に高める

過去問を解く意味は、行政書士試験における頻出分野の把握です。

行政法の範囲が幅広く出題されていたり、商法は基本書では範囲が膨大なのにあまり出題されていないことが分かります。
さらに、数年のサイクルで特定分野を出題していることや、逆に全く出題されない分野を見つけることもできるのです。

行政法の行政裁量(判例)論点を過去問を例に解説

行政法の行政裁量(判例)の過去問を例に解説してみます。

行政裁量は、行政書士試験の中で10年間で5回も登場している頻出論点です。

そこで一例として、平成28年度問9の5つ目の選択肢と平成24年度問6の3つ目の選択肢を比較してみます。

平成28年度問9(5)

行政裁量に関する最高裁判所の判例について、次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、制度は、判決当時のものである。

裁判所が懲戒権者の行使としてされた公務員に対する懲戒処分の適否を審査するに当たっては、懲戒権者と同一の立場に立って懲戒処分をすべきであったかどうか又はいかなる処分を選択すべきであったかについて判断し、その結果と処分とを比較してその軽重を論ずべきものではなく、それが社会観念上著しく妥当を欠き裁量権を濫用したと認められる場合に限り、違法と判断すべきものである。

【解答】〇

引用:一般財団法人行政書士試験研究センター

平成24年度問26(3)

行政裁量に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に解らし、誤っているものはどれか。

公務員に対して懲戒処分を行う権限を有する者は、懲戒事由に該当すると認められる行為の原因、動機、性質、態様、結果、影響等のほか、当該公務員の行為の前後における態度、懲戒処分等の処分歴、選択する処分が他の公務員及び社会に与える影響等、諸般の事情を考慮した上で、懲戒権者に委ねられた合理的な裁量に基づいて、処分を行うかどうか、そして処分を行う場合にいかなる種類・程度を選ぶかを判断する。

【解答】〇

引用:一般財団法人行政書士試験研究センター

2つの過去問を比較することで見えること

上記2つの選択肢は、S52.12.20の同一判例です。

このように、同じ分野(行政裁量)で同一判例を聞いていますが、文言が異なっています

もし、H28問9のみ勉強していた場合、H24問26が行政裁量の問題だと知ってても、間違えてしまう可能性があります。

重要なのは過去問で頻出問題を一網打尽にすることで、どの角度から聞かれても完璧に対応できるようにすることです。

民法の債権(不法行為法分野)論点を過去問を使ってさらに分析

民法では、債権のほうが物権よりも頻出論点が多いです。

特に、不法行為法分野は債権の頻出論点になります。最近5年で5問出題されています。

そこで、平成30年度問33の選択肢の2目と平成18年度問34の選択肢アを使って、さらに過去問分析をしてみます。

平成30年度問33(2)

Aに雇われているBの運転する車が、Aの事業の執行中に、Cの車と衝突して歩行者Dを負傷させた場合に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。なお、Aには使用者責任、BおよびCには共同不法行為責任が成立するものとする。

2.AがDに対して損害を全額賠償した場合、Aは、損害の公平な分担という見地から均等の割合に限ってCに対して求償することができる。

【答え】×

引用:一般財団法人行政書士試験研究センター

平成18年度問34(ア)

観光バス会社Aの運転手Bは、営業運転中に、Cが運転するD社のタンクローリー車と衝突事故を起こし、バスの乗客が負傷した。その事故は、Bの前方不注意とCの居眠り運転が競合して生じたものであり、B・Cの過失割合は3:7であった。この場合の法律関係に関する次のア~オの記述のうち、妥当なものの組合せはどれか。

ア、Aが乗客の請求に応じて損害を賠償した場合には、Aは、Cの過失割合に応じてCに対して求償することができる。
【答え】〇

引用:一般財団法人行政書士試験研究センター

2つの過去問を比較することで見えること

この2つの過去問題は実は同じ判例(S41.11.18)です。

民法は、事例問題が出題されやすいく、一見全く違う問題に見えますが、聞いていることは実は一緒です。

過去問を多く解くことによって、まずは基礎を固めること(出てきた条文・判例を覚えていくこと)だけでなく、様々な角度からの問われ方のパターンを理解できるため、応用力(様々な事例について考える力)を身につけることもできます。

今回の場合は、一方が〇でもう一方が×になるので、しっかり選択肢も吟味しなければならず、正解と不正解の記載の仕方なども学ぶこともできていしまいます。

頻出分野の把握ができたら勉強計画をたてるべき

全体的・部分的に過去問分析をした後に、勉強計画を立てましょう。

なぜなら、まず量が多い行政法から勉強しようとか、また、苦手な科目がある方はいやいや全部勉強するのではなく、ほとんど出題されてない分野は思い切って捨てたりできます。

むしろ、この選択ができないと時間対得点効果を判断できず、むやみやたらに時間を使ってしまいます。

あくまで行政書士試験の合格が目標ですよね?

そうであるならば、時間対得点効果を考えた勉強計画によって、非効率な勉強時間は極力排除することが合格につながります。

なぜそう言えるのか・・。それは筆者自身が身をもって感じた恥ずかしい失敗が存在するからです。

筆者の勉強計画を立てなかったことによる失敗談
ぎょしょ

筆者は、勉強計画を立てずに、ただただ完璧主義を目指して問題を解き続けてました・・。

間違えた問題は二度と間違えない!全部つぶそう!という意気込みで勉強していたのです。

初めはよかったのですが、本試験直前になっても全部をつぶしきれず、(問題はたくさんあるので!)結局自分はもう無理なんだ・・・という気持ちで本試験に臨みました。(結果は言わずもがなです)

本当に非効率な勉強をしてしまったと感じています。

しっかりと過去問分析を行い、それに沿った勉強計画を立てることで、私の場合は、そもそもとっつきにくく、重要でもない商法の全ての問題を勉強することなく、より重点的に勉強しなければならない科目(行政法や民法)に時間を回して確実にするということができたはずです。

その反省を生かして、2回目の受験で、取るところは取り、捨てるとことは思い切り捨てるという意識のもと、勉強にもメリハリがつきましたし、本試験でも戦略的に点数を取ることができ、合格できました。

これで合格できるので、皆さんはぜひ勉強を始める前に、過去問を解き、勉強計画をしっかりと立ててください。

大切なのは自分の手で過去問を解き・分析です。

頻出論点は市販のテキストでも分かります。しかし、あえて自分で分析・判断により、自分の頭で考える癖をつけた方が効率的な勉強計画の方針を立てられます。

法律科目は過去問を解くだけで合格ラインを突破できる最強の勉強法

行政書士試験の合格ラインは全体の6割で、300点満点中、180点を1点でも超えることができれば合格です。

そして、なんと

  • 法律科目は244点
  • 一般常識は56点

です。

私がこの配点を見たとき感じたことは・・・あれ、法律科目で7.5割取れれば合格できるじゃん!です(笑)。

しかも、一般常識でも何点か取れると考えると、実質的に法律科目で7割取れればいいことが分かります。

つまり、満点をとる必要なく、膨大な量がある法律科目の3割は捨てられます。

7割を解く力とは過去問によく登場してくる頻出問題を身につければいいのです。

具体的には、過去問の演習によって、基礎知識(全体の3割)、そして頻出分野(全体の4割)を確実におさえる。たったこれだけです。

行政書士の試験で損しないために過去問勉強で知るべき4つの事実とは?

範囲の広い行政法と民法こそ過去問からインプットすることが大切

行政法は、

  • 択一で19問
  • 多肢選択で2問
  • 記述式で1問

は毎年コンスタントに出題され、その点数はなんと計112点です。

民法は、

  • 択一で9問
  • 記述式で2問

出題され計76点。

民法と行政法を合わせると188点で、なんと全体の約63%も占めるのです。

行政法と民法を制する者は、行政書士試験を制すると言っても過言ではありません。

毎年、択一・多肢選択・記述式の全範囲からコンスタントに出題されることが分かっているからこそ、過去問による多くの問題を演習し、必要な知識を確実に定着させましょう。

科目別で過去問勉強の重要度が大きく変わる

上記の通り、毎年多く出題される行政法民法は、しっかりと過去問を勉強して知識を固めるべき最重要科目です。

また、一般常識科目で出題される個人情報保護法についてもしっかり過去問で勉強しましょう。

一方で、一般常識科目で出題される個人情報保護法・文章理解以外の時事・知識問題は、サラッと流すだけにとどめておいて構いません。(本番は勘でいいですし、知ってたらラッキーのイメージです。)

なぜなら、過去問を見てみると、H29問50はビットコイン、H28問50はTPP、H27 問51は空き家問題といった内容が出題されるなど、時事的要素が強く、同じ問題が出題される確率がかなり低いため、時事・知識問題の勉強時間は他の法律科目を勉強に回した方が勉強効率は高いです。

過去問の平成29年度問50をピックアップ

ビットコインに関する次の文章の空欄[ Ⅰ ]~[ Ⅳ ]に入る適切な語の組合せとして、妥当なものはどれか。

仮想通貨とは「国家の裏付けがなくネットワークなどを介して流通する決済手段」のことを指す。仮想通貨にはこれまで様々な種類の仕組みが開発されてきたが、その1つがビットコインである。ビットコインは分散型仮想通貨と呼ばれるが、実際の貨幣と同様、当事者間で直接譲渡が可能な流通性を備えることから[ Ⅰ ]と異なる。[ Ⅱ ]型で、通常の通貨とは異なり国家の裏付けがなくネットワークのみを通じて流通する決済手段である。ビットコインを送金するためには、電子財布に格納されている秘密鍵で作成する電子署名と、これを検証するための公開鍵が必要となる。
[ Ⅱ ]型ネットワークをベースにするため、中心となるサーバもないし、取引所で取引を一括して把握するようなメカニズムも存在しない。取引データは利用者それぞれの端末に記録され、そうした記録がブロックチェーンに蓄積される。
ブロックチェーンとは、ブロックと呼ばれる順序付けられたレコードが連続的に増加していくリストを持った[ Ⅲ ]型データベースをいい、それぞれのブロックには[ Ⅳ ]と前のブロックへのリンクが含まれている。一度生成記録されたデータは遡及的に変更できない。この仕組みがビットコインの参加者に過去の取引に対する検証と監査を可能としている。

Ⅰ. 電子マネー クレジットカード
Ⅱ. P2P 解放
Ⅲ. 分散 集約
Ⅳ. 所有者名 タイムスタンプ

引用:一般財団法人行政書士試験研究センター

よって、あくまでも法律科目の強化によって確実に得点を積み重ねる戦略をとりましょう!

過去問勉強は量ではなく質を意識すべき

行政書士の過去問勉強は15年分がベスト

行政書士試験の過去問は15年分の演習がベストです。

行政法の択一式を例にとると、19問×5年=90問しかないため、5年分だけだと、問題演習が圧倒的に足りません。

行政法の国家賠償法1条の問題を例に挙げると、5年分の過去問だとH30問20、H29問20、H27問19、H26問19アが該当します。

つまり、

  • 演習できる問題は約4問(選択肢では16つ)

です。

15年分(24年度以降)にすると、H24問20(2・5)、H23 問20、H22問19(5)、H21問20、H20問19・20、H18問20、H17問13、H16問11となります。

すると、

  • 合計9問(選択肢では約38つ)と、5年分より2倍程度も多くの演習量を確保できるため、実力養成が可能

となります。

頻出論点であればあるほど確実に得点をかさねる必要がでくるため、

なぜ過去問20年分ではなく15年分なのか

20年分を用意できれば、問題演習の量に限って言うならば十分です(例えば、行政法択一では、19問×20年=380問!)が、近年の傾向をみると出ないような分野の論点が出題されていたり、改正されて今は必要ない知識(特に行政法での行政手続法や行政不服審査法)が多くなりすぎてしまいます。

この問題の精査に時間をかけすげてしまっても、時間のムダとなってしまうためお勧めできません。

そこで、演習量と傾向分析に、15年分の過去問を用意することが筆者の感覚ではベストです。

過去問の勉強量を図る指標は3周

過去問1周目

過去問は最低で3週はしましょう。(直近3年分は本試験直前まで置いておきます)

過去問1周目は、普通に時間を測って解きます。(15年前から4年前まで)

そして、間違えた問題にチェックをつけていきます。加えて、勘で解いた問題もチェックをつけます。(確実に分かった問題だけ正解にします)

チェックをつけるべき理由

確実に分かった・正解できた問題を何度も解くことは時間のムダになってしまいます。

それを可視化するためにチェックをつけるのが目的です。

実は、筆者ははじめチェックをつけず、確実に分かる問題も全部解いていました。なぜなら、丸がついて、そこそこできるじゃんと思えて、嬉しいからです。(笑)

しかし、それはただの自己満足だなと気づきました。試験が終わってからです(汗)本試験では、結局全然手ごたえがなく、普通に落ちました。

チェックをつけずに、過去問を何周しても、本当に時間のムダだったんだなと気づいたのです。

効率が悪すぎました・・・

その反省を踏まえて、絶対に分かる問題は飛ばし、本当にできない問題に集中して勉強をするようにしました。

勉強するうえで大切なのは、当たり前ですが、分からなかった問題と勘で当たった問題を丁寧に理解していくことです。(勘で解けた問題もチェックをつけなければならないので、ここは心を鬼にして、合格のために必要なんだ!と思って、チェックをつけましょう笑)

できない問題にだけ、しっかり時間をかけていきましょう!

過去問2周目

1周目では、できない問題の判別をし、2週目では、その問題を理解していきます。

2周目は、チェックをつけた問題だけ演習しましょう。ここでは、1問ごとに解きます。

1問解く→答え見る→次の問題・・・という流れでチェックをつけた問題全てを演習します。

その際は、選択肢ごとに〇、×がつけられるか見てください。確実に分からない選択肢があれば、その問題に再度チェックをつけましょう。

選択肢ごとに〇、×をつける理由

なぜならば、実力がついているかどうか、理解しているかどうか確認できるからです。

2周目ともなると、正解の選択肢の位置を覚えていて、正解できる可能性もあります。

そこで、選択肢一つ一つを根拠をつけて〇、×がつけられることで、問題を本当に理解しているかどうかを明確化させましょう。

筆者も、同じような論点を聞かれているのに、ある年は正解し、ある年は間違えていました

なんで安定してないんだろう、同じような問題なのに・・・と疑問に思ったことがありました。

答えは簡単で、1周目でできた問題の正解の選択肢しか、知識として頭に入れてなかったからです。それだけでは、不十分です!

他の4つの選択肢も、次は正解の選択肢として出題されるかもしれないのです。したがって、選択肢は全て大切なのです!

解説を読んで分かったら、自分で根拠をつけて説明できるはずです。

それができないのであれば、理解できていないということなので、もう一度復習しなければなりません。

もう一度復習するためにも、チェックをつけましょう。

3周目

3周目は、チェックが多い問題を中心に、選択肢ごとに解いていきましょう。

ここまで演習すれば、基礎知識はもちろん、それ以外のプラスαについても選択肢ごとに確認できているため、かなり実力が身についています。

チェックが多い問題を中心に、選択肢ごとに解くべき理由

本試験への総仕上げとして、チェックが多い問題士を中心に選択肢ごとに解いてきましょう。

チェックが多い問題は、自分がまだ完璧に理解していない問題・選択肢であり、いわば最後の弱点です。

そしてそれは、もうかなり減ってきているはずです。

過去問を今までに2週、丁寧に解き終わったら、本試験まで時間的にも残りわずか。

自分の弱点に効率よく、集中して、アプローチしていきましょう!

1問5分以内の解答制限で本番と同じ状況下で自分にプレッシャーをかける

過去問を演習する際は、必ず時間を制限すべきです。

なぜなら、本試験では時間が決まっています!

過去問を解くときから時間を意識することで、本試験と同じプレッシャーになれることもできます。

また、5分以上問題を考えるのは、時間がもったいないです。法律科目はほぼ知識問題なので、分からないものに時間をかけても仕方ないからです。

それに加えて、時間を制限することで、試験勉強のメリハリもつけられます。

ダラダラと勉強せず、この時間は行政書士試験に集中するんだ!と決めて、しっかり演習していくことが大切です。

行政書士試験までの残り期間で過去問の使い方が大きく変わる

行政書士試験まで1年前

本試験から1年ほど時間がある方は、用意した15年分の過去問を丁寧に全部の問題を、3週回して解いていきましょう。

必要に応じてそれ以上解いてみるのもいいと思います。

行政書士試験まで半年前

本試験まで半年間の時間がある方は、あらかじめ1年分過去問を解き、重点的に勉強する分野とそれ以外の分野を明確にしましょう。

その後、分野別の過去問を使用して、3週じっくりと演習していきましょう。

行政書士試験直前期(1ヵ月前)

直前期(10月)は、直近の3年分の過去問を解きます。

1年前→2年前→3年前の順番で解きましょう。(なぜなら、1年前の過去問の問題が連続で出題される可能性が低いからです。)

できれば、本試験と同じ日曜日で、午後1時から4時までの3時間を使って演習しましょう。

この1か月は本試験をできるだけ意識して、戦略的(どこをとって、どこを捨てるか)に過去問を解いていくことが大切です。

そして次の過去問を解く日曜日までに前回分の復習を「じっくり」行います。新しいことを勉強することはできるだけ控えるようにしましょう。

行政書士の過去問を使って基礎知識を確実に固め無駄な勉強を減らす

問題ごとではなく選択肢ごとの理解勉強法

過去問を演習する上で最も重要なことは、問題ごとではなく選択肢ごとに勉強することです。

過去問で出題された問題と同じ問題は、ほとんど出題されません。特に、正解になった選択肢はもってのほかです。

では、何が出題されるのかというと、今まで過去問での間違いの選択肢が姿を変えて出てくる可能性が高いです。

しかし、趣旨や論点を理解していれば解けます。

過去問を例に解説

ここで、H20記述式問題を例に挙げます。

平成20年度問44(記述問題)

Xは、Y県内に産業廃棄物処理施設の設置を計画し、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に基づき、Y県知事に対して設置許可を申請した。しかし、Y県知事は、同法所定の要件を満たさないとして、申請に対し拒否処分をした。これを不服としたXは、施設の設置を可能とするため、これに対する訴訟の提起を検討している。Xは、誰を被告として、いかなる種類の訴訟を提起すべきか。40字程度で記述しなさい。

【解答例】Y県を被告として、拒否処分の取消訴訟と設置許可の義務付け訴訟とを併合して提起する。

引用:一般財団法人行政書士試験研究センター

この記述式問題は、過去問での出題はありません。そのため、一見すると過去問題からは解けないように感じます。

しかし、問われている論点自体は過去問で実は出題されています。

記述では初見の問題でも択一問題で同じ論点が問われていることもある

平成17年度問16(1)

従来、抗告訴訟における被告は行政庁とされていたが、改正後は、国家賠償法と同様に、国または公共団体を被告とすることになった。

平成19年度問17(3)

Xが市立保育園に長女Aの入園を申込んだところ拒否された場合において、Xが入園承諾の義務付け訴訟を提起する場合には、同時に拒否処分の取消訴訟または無効確認訴訟も併合して提起しなければならない。

これらの選択肢からわかるように択一問題と記述式問題で違いがありますが、しっかり過去問を学習し、理解していれば、先ほどの平成20年度問44の記述は得点できるのです。

記述式問題は配点が(20点)割合が高く、合否に大きく影響を及ぼすため、過去問勉強の重要性が分っていただけるはずです。

また、問題1問につき、選択肢は5つ出てきます。

過去問を「問題ごと」に1周した人と、「選択肢ごと」に1周した人は、単純に約5倍の差が生まれます。

なぜならば、問題をただ正解しても、正解の選択肢(例えば、正解の判例)しか理解していないことが多いですが、選択肢ごとに勉強をすれば、5つの知識(5つの判例)を得られるからです。

間違いの選択肢だからと飛ばすのではなくて、その選択肢はどこが間違っているのかひとつづつ根拠を確認しながら勉強していきましょう。そうするだけで、実力がメキメキとつきます。

絶対に落としてはいけない問題

文章が短く、短時間で内容を把握しやすい法律科目問題

絶対に落としてはいけない問題は、法律科目でいうと文章が短く、短時間で内容を把握しやすい問題です。

特に、条文問題(憲法の統治、行政法に多い)や比較的よく出題される基礎的な判例問題であることが多いです。

ですので、必ず後回しにせず、積極的に解かなければなりません。

H29年度問11(行政手続法1条)の過去問をみてみると

この行政手続法1条の問題は、必ず得点しなければならないです。

なぜならば、条文の文言を知っているだけで解けるからです。

過去問を何周も勉強すれば、こういった法律の根本である条文は何回も目にしているはずです。

行政書士試験では、条文の文言をストレートに聞いてきます。

また、文章が約1行の問題は、条文の内容をまとめた基礎的な問題になることが多いです。

ですので、大事な条文(過去問で何回も出てきた条文、条文問題に限らず)は読み込むようにしましょう。(条文全てを覚えろ!ではありません)

そうすると、本試験では、さほど時間をかけずに確実に点数を取ることができ、他の問題に時間を回してあげることができます。

次の文章は、行政手続法1条1項の条文である。空欄[ ア ]~[ オ ]に当てはまる語句の組合せとして、正しいものはどれか。

第1条 この法律は、[ ア ]、行政指導及び[ イ ]に関する手続並びに[ ウ ]等を定める手続に関し、共通する事項を定めることによって、行政運営における[ エ ]の確保と透明性(略)の向上を図り、もって[ オ ]に資することを目的とする。

1. 行政行為 届出 行政計画 迅速性 国民の権利利益の保護
2. 処分 公証 行政契約 効率性 行政の適正な運営
3. 行政行為 公証 命令 公正 国民の権利利益の保護
4. 行政行為 通知 行政計画 効率性 行政の適正な運営
5. 処分 届出 命令 公正 国民の権利利益の保護

引用:一般財団法人行政書士試験研究センター

一般常識科目の文章理解問題

一般常識では、最後の文章理解の問題です。

しっかりと時間を確保できれば高い確率で解けますので、必ず捨てないようにしてください。

逆に、落としても大丈夫な問題もあります。

複雑な長文の判例問題・事例問題は、サッと飛ばしても構いません。また、一般常識で聞いたことがないような単語が出てきた場合もです。

なぜなら、行政書士試験は6割で合格する試験だからです。満点は必要ありません。

いくつかの問題が全く分からなくても動揺せず、分かる問題だけしっかりと解くようにしましょう。

年度別ではなく論点別の過去問を使うべき

過去問は、最初に行政書士試験の概要を把握するときと、直前期に本試験と同じように解くとき以外は、論点別の過去問を使用することをお勧めします。

最初に概要を把握した後、自分の得意で伸ばしたい分野と苦手な分野を明確にできます。

分野別にまとめて勉強することで効率よく集中的に、得意分野を伸ばせますし、苦手分野を克服することが可能です。

ぎょしょ

筆者は行政法の行政事件訴訟法の分野がかなり苦手でした。

しかし、本試験では必ず出ます。もう捨てて他のところで点数取ろうかな・・・と考えたのですが、分野別の過去問を用意すると、いやでも多くの問題を目の当たりにしました(笑)

それを見たとき、あ、これはやんなきゃ落ちるね(笑)と自然と覚悟ができました。

そこで、苦手克服期間と称して、1か月間そこだけ解きまくりました。分野別の過去問は、本当にその分野に限定して問題を解くことができます。そういった使用方法に最適でした。

そのおかげで、本試験では取りこぼしを防ぐことができ、合格できました。

行政書士の過去問勉強は苦手分野の克服に大活躍するために、得意分野もとことん集中して伸ばすことができます。

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まとめ

改めて、行政書士試験では、法律科目が4つ(憲法・行政法・民法・商法)、一般常識科目からも幅広く出題されるため、勉強がとても大変です。

だからこそ、ご紹介した内容は、行政書士試験を合格するために知っておかないと損しかありません

  • 出題傾向を把握し、基本論点・頻出論点の得点獲得能力を高める
  • 苦手分野を把握し、弱点を浮き彫りにすることで対策する

過去問勉強を徹底的に行って、行政書士試験の合格をつかみとりましょう。

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