行政試験攻略において、民法と並んで落とせない科目・苦手にしてはいけない科目こそが
- 行政法
です。
行政法では、条文を中心に出題されかつ過去問が繰り返し出題される傾向が高く、行政法の条文を丸暗記するだけで一定の得点をとることは可能です。
しかし、お経や呪文のように黙々と覚えるのは非効率的なため、高得点をとるために重要な勉強法は条文をきちんと理解することも大事です。
そこで本記事では、過去問を利用しながらどのように条文の理解をしていけばよいのかについて、解説しています。
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行政書士の行政法の出題範囲と出題傾向
行政書士試験における行政法は、択一式問題が10問前後、記述式問題が2問出題が近年の傾向です。
そして、行政書士試験における行政法の割合は、全体の約25%も占めます。
ただ、行政法は1900以上の法律から成り立っていますが、おり、ただ漠然と勉強していくだけでは、とても試験当日までに間に合いません。
とくに、お仕事をしながら試験勉強をしている兼業受験生にとっては、勉強の方法の工夫が必要です。
行政書士の行政法における出題範囲
先程も述べた通り、行政法は1900以上もの数の法律から成り立っていると言われていますが、試験に出る科目は
- 行政法総論(行政法全体に共通する事項)
- 行政手続法
- 行政不服審査法
- 行政事件訴訟法
- 国家賠償法
- 地方自治法
6ジャンルだけです。
試験に関係のない範囲の勉強を行っても得点に結びづらいので、行政書士試験への合格を目的に考えると非効率です。
行政書士の行政法における出題傾向
行政試験における行政法は、民法に比べて、実際に起きた問題を題材として出題されるではなく(「事例問題」といいます)、条文を中心に出題される傾向にあります。
従って、民法は条文の背景、つまり誰を守るための条文なのか?といったことなども「理解」しながら勉強を進めていく必要がありましたが、行政法は条文知識をそのまま問われる問題が比較的多いです。
そのため極論をいえば、条文を「丸暗記」すれば、試験になんとか対応できます。
- 行政法総論(行政法全体に共通する事項)
- 行政手続法
- 行政不服審査法
- 行政事件訴訟法
- 国家賠償法
- 地方自治法
の全ジャンルから満遍なく出題されるため、取りこぼしのないように勉強を進めていく必要があります。
具体的な判例問題が全く出題されないという意味ではありません。
行政書士の行政法科目を攻略するための勉強法
行政書士の行政法科目を攻略は
- 行政法の条文暗記と理解
につきます。
- 択一問題
- 多肢択一問題
- 記述式
のどれにおいても基本的に勉強法は変わりませんが、それぞれの問題形式における勉強法を解説していきます。
択一問題
行政書士試験の択一問題における行政法の攻略は、
- 条文の理解(暗記)
- 過去問の往復作業
につきます。
そして、条文の理解(暗記)には語句の意味の理解が必要です。
具体例
行政手続法第5条
行政庁は、審査基準を定めるものとすると審査基準の設置が必須です。
行政手続法第12条
行政庁は、処分基準を定め、かつ、これを公にしておくよう努めなければならない。」と審査基準の設置が必須とまでは述べていません。
ぱっと見ただけでは、読み飛ばしそうな細かな条文の違いこそ、試験で出題されるかつ受験生がよく間違う箇所です。
勉強の手順
- 行政書士試験向けテキストで条文の理解・暗記
- 過去問を使って条文の出題内容を確認
- テキストにもう一度戻って暗記
行政書士試験向けのテキストを上手く活用しながら、言葉の意味や細かな条文の表現方法などに気を使いながら(たいてい赤字で印刷されているなどレイアウトに工夫がされているはずです)、条文の理解・暗記をします。
そして、過去問を使って覚えた条文の知識がどのように出題されているかを確認します。
間違えた箇所や自身がない箇所は、もう一度テキストに戻って、条文の語句の理解や文言の細かな暗記をします。
3つの手順を繰り返していくと、条文の理解・暗記がいかに大事であるかが分かるはずです。
多肢択一問題
多肢択一式問題における行政法の対策は択一問題と同じです。
択一問題、多肢択一式問題記述式であろうと、出題される条文が変わる訳ではありません。
行政書士試験は、条文や判例を中心に、基本的な事柄が出題される傾向にあります。
そこまで厳密に「多肢択一式対策!!」といった具体的な対策をする必要はありません。
行政書士向けの行政法のテキストに沿って、丁寧に条文の語句の意味の理解や、条文の文言を覚えれば、おのずと多肢択一も解けるようになます。
択一式に比べて、判例の中身を問う問題が多いです。
記述式
記述式でも、まずは行政書士向けのテキストの徹底理解に努めます。
次に過去問や市販の問題集を使って、「40字にまとめる」作業に慣れましょう。
条文を中心とした基礎的な知識が問われる点は、択一式や多肢択一式と変わりません。
40字にまとめる作業には、記述式の問題集を利用しながら進めると効率的です。
何を書けば点数獲得できるかポイントが解説されているので、闇雲にテキストを読み込むより、勉強の強弱がはっきりとつけることができます。
行政書士試験の行政法の択一式・多肢択一式・記述式の共通した攻略法です。
行政書士の行政法の過去問のやり方を解説
過去問を使って、行政書士試験における行政法の過去問のやり方を
- 択一問題
- 多肢択一問題
- 記述式
のそれぞれで見ていきます。
行政法科目の過去問:択一問題(平成30年問10選択肢5、平成28年問10選択肢ウ)
平成30年問10選択肢5
行政処分の違法を理由として国家賠償を請求するためには、その取消しまたは無効確認の確定判決をあらかじめ得ておく必要はない。
過去問を徹底的に分析してい売れば、答えが簡単に正解だと判別できます。
なぜなら、平成28年にも類似の問題が出題されているからです。
平成28年問10選択肢ウ
行政処分が違法であることを理由として国家賠償請求をするに当たっては、あらかじめ当該行政処分について取消訴訟を提起し、取消判決を得ていなければならないものではない。
平成30年の受験生は過去問演習の時に、行政処分が違法の場合は「(事前に取消訴訟などを提起せず)国家賠償を請求できる」という結論を覚えていれば、平成30年問10の5は簡単に解けるようになっていました。
- 過去問を中心に条文の
- できる・できない
- 数字(○日以内)
- 例外(ただし・・と書いてあるところ)
に注意して、テキストを読む→過去問を解くといった作業を繰り返していけば、十分に高得点を獲得できます。
行政書士試験における行政法は、他の科目に比べ過去問が繰り返し出題される傾向にあることを逆手にとって過去問学習を徹底すべきです。
多肢択一問題:平成30年問42
行政書士の行政法を攻略するための勉強法の多肢択一式でも述べた通り、特に多肢択一式に特化した対策をする必要はありません。
択一式の過去問を中心に、条文やテキストの読み込みと理解を行っていけば、おのずと多肢択一式対策にもなります。
平成30年問42(選択肢は略)
第一に、「取消訴訟においては、 ア に関係のない違法を理由として取消しを求めることができない」(10 条 1 項)。
これは、訴えが仮に適法なものであったとしても、【 ア】 に関係のない違法を理由に取消しを求めることはできない(そのような違法事由しか主張していない訴えについては 【イ】 が下されることになる)ことを規定するものと解されている。
取消訴訟が(国民の権利利益の救済を目的とする)主観訴訟であることにかんがみ、主観訴訟における当然の制限を規定したものにすぎないとの評価がある反面、違法事由のなかにはそれが【 ア】 に関係するものかどうかが不明確な場合もあり、「【 ア】 に関係のない違法」を広く解すると、国民の権利利益の救済の障害となる場合もあるのではないかとの指摘もある。
第二に、「処分の取消しの訴えとその処分についての 【ウ】 の取消しの訴えとを提起することができる場合には」、 【ウ】 の取消しの訴えにおいては「 【エ】 を理由として取消しを求めることができない」(10 条 2 項)。
これは、【 エ】 は、処分取消訴訟において主張しなければならないという原則(原処分主義)を規定するものと解されている。
平成28年問題17ア
処分の取消訴訟において、原告は、【自己の法律上の利益に関係のない】違法を理由として処分の取消しを求めることはできず、こうした理由のみを主張する請求は【棄却される】。
選択肢アとイは、問題文本文にもある通り、行政事件訴訟法10条本文からの問題です。従って、行政事件訴訟法の10条を覚えていた方はおのずと選択肢を見つけることができました。
しかし、条文本文を覚えていなかったとしても、平成28年問題17の選択肢を勉強する際に、
- 自分に法律の関係のない違法を理由に処分の取り消しを求めることはできない
- そのような状態は棄却される
を理解していれば、選択肢にたどり着くことができます。
択一式の問題を解く際も、ひたすら○×ゲームをするのではなく、「なぜ正解(あるいは不正解)なのか」その理由を問題集の解説欄などを見ながら勉強がとても大切です。
平成26年問題14選択肢2
平成26年問題14選択肢2 違法な処分に対する審査請求について、審査庁が誤って棄却する裁決をした場合、審査請求人は、裁決取消訴訟により、【元の処分が違法】であったことを理由として、【棄却裁決の取消し】を求めることができる。
答えは×(行政事件訴訟法第10条2項)
こちらも、平成26年問題14の選択肢2の答えがなぜ「×」になるのかを理解してれば、行政事件訴訟法第10条2項の条文を丸暗記していなくてもおのずと答えたが分かります。
すなわち、平成26年問題14の選択肢2がなぜ「×」になるのか、
- 違法な処分に対する審査請求に対して、裁決取り消しの訴えを提起する際には、処分の違法を理由とすることができない(処分の違法を理由とする、裁決取り消し訴訟は提起することができない)
を覚えていれば、おのずと選択肢を絞り込むことができました。
このように過去問を徹底分析していれば、平成30年問42はとても簡単に解答可能な問題となります。
解答
ア【自己の法律上の利益に関係のない】と一致する「11:自己の法律上の利益」が正解
イ【棄却される】と一致する「16:請求を棄却する判決」が正解
ウ【棄却裁決の取り消し】と一致する「1:審査請求を棄却した裁決」が正解
エ【元の処分が違法】と一致する「6:処分が違法」が正解
記述式:平成30年問44
択一式の対策(テキストと過去問の繰り返しと理解)が、おのずと記述式の対策につながります。
その具体例として、平成30年問44をご紹介します。
Xは、A県B市内において、農地を所有し、その土地において農業を営んできた。
しかし、高齢のため農作業が困難となり、後継者もいないため、農地を太陽光発電施設として利用することを決めた。
そのために必要な農地法 4 条 1 項所定のA県知事による農地転用許可を得るため、その経由機関とされているB市農業委員会の担当者と相談したところ、「B市内においては、太陽光発電のための農地転用は認められない。」として、申請用紙の交付を拒否された。
そこで、Xは、インターネットから入手した申請用紙に必要事項を記入してA県知事宛ての農地転用許可の申請書を作成し、必要な添付書類とともにB市農業委員会に郵送した。
ところが、これらの書類は、「この申請書は受理できません。」とするB市農業委員会の担当者名の通知を添えて返送されてきた。
この場合、農地転用許可を得るため、Xは、いかなる被告に対し、どのような訴訟を提起すべきか。40 字程度で記述しなさい。
このなかで、
- 「いかなる被告に対し」は択一式の平成21年問題16選択肢ア
- 「どのような訴訟を提起すべき」は平成26年問題16選択技2
をヒントに解答できます。
平成21年問題16選択肢ア
国の行政庁がした処分に関する取消訴訟の被告は、国である。
処分又は裁決をした行政庁が国又は公共団体に所属する場合には、取消訴訟は、当該処分又は裁決をした行政庁の所属する国又は公共団体を被告として提起しなければならない(行政事件訴訟法11条1項)とあります。
平成21年問題16選択肢アを理解していれば、「いかなる被告に対し」を「(B市が所属している)A県が被告」と解答できるようになります。
平成26年問題16選択肢2
不作為の違法確認の訴えが提起できる場合においては、申請を認める処分を求める申請型義務付け訴訟を単独で提起することもでき、その際には、不作為の違法確認の訴えを併合提起する必要はない。
不正解の選択肢です。正解になおすと、
行政の不作為に対し、何らかの申請を認めるには、不作為の違法確認を併合提起することが必要(行政事件訴訟法第37条の3第3項)、となります。
平成21年問題16選択肢アと平成26年問題16選択肢2で解説した内容をまとめると、平成30年問44の記述式問題の解答となります。
平成30年問題44
A県を被告として、不作為の違法確認と農地転用許可の義務つけの訴えを併合提起する。
まとめ
行政書士の行政法は、冒頭にもお伝えした通り、条文を中心に出題されかつ過去問が繰り返し出題される傾向にあります。
あえて誤解を承知で申し上げるならば、最後の手段として、行政法の条文を丸暗記しただけでも、そこそこの得点は取れます。
もちろんひたすらお経か呪文のように黙々と覚えていくのは、非効率的です。
- 行政書士試験に合格する上で必要な範囲に絞られていること(試験問題を解く上で不要な条文は見ない)
- 行政書士試験で問題を解く上で必要な知識が掲載されていること(条文を暗記する際は試験で問われそうな箇所を中心に暗記する)
の2つを意識しながら勉強を進めましょう。