行政書士の民法科目で高得点をとるための勉強法は条文の丸暗記ではありません。
重要なのは、条文ごとの背景や何を保護対象にしているかといったことを把握する為に読解力・思考力を活用することです。
さらに、自分の身近な例に例えるなどのイメージ化作業も行いながら、勉強を進めていくのが民法を理解していく上でのコツ。
そのためには、
- 読解力
- 条文の理解
- 条文のあてはめ(思考力の強化)
の3つを意識して勉強を進めることです。
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目次
行政書士の民法科目の出題範囲と出題傾向
行政書士試験における民法は、択一式問題が10問前後、記述式問題が2問出題が近年の傾向です。
そして、行政書士試験における民法の割合は、全体の約25%も占めます。
ただ、民法は1000個以上の条文から成り立っており、ただ漠然と勉強していくだけでは、とても試験当日までに間に合いません。
とくに、お仕事をしながら試験勉強をしている兼業受験生にとっては、勉強方法の工夫が必要です。
行政書士試験を合格するためには、民法攻略は避けて通れません。
行政書士の民法科目における出題範囲
行政書士の民法科目における出題範囲は、
- 総則
- 物権・担保物権
- 債権総論・各論・親族
- 相続
の5つ(正確には7つ)のジャンルから成り立っています。
行政書士の民法科目における出題傾向
上記の5ジャンルの中でも
債権は出題傾向の高い分野です。
しかし、ほとんどのテキストの場合は、条文の構造どおりに
- 総則
- 物権
- 担保物権
- 債権
- 親族相続
の順に掲載されています。
債権は後ろから2番目に位置するため、債権を勉強開始時期は遅れてしまいます。
すると、必然的に債権の勉強は量は少なくなりますよね。
これは非常にもったいない勉強方法となってしまうため、せっかく債権の出題傾向が高いと分かっているのであれば、債権を優先的に勉強する計画をたてましょう。
行政書士試験を合格するには、民法科目の勉強を優先させる。
さらに、民法科目のなかでも債権の勉強を優先させよう。
行政書士の民法で得点をとるための勉強法は3つ
行政書士試験の民法で高得点をとるためには、優先順位だけでなく、
- 読解力
- 条文の理解
- 条文のあてはめ(思考力の強化)
の3つを意識して勉強法を工夫することが必要です。
読解力
民法は私達が社会生活を行っていく上で、最低限のルールのようなものです。
民法を勉強していく上で、
- 誰を守り
- 誰に義務を課している
のかを条文上の文字から読み解き(読解力)、あるいは考えながら、把握しながら勉強していくと、より深く理解が深まり、少しひねった応用問題にも対応できるようになります。
実際に試験の現場においても、「よく分からないが、この条文は○○を保護する為のものだから、選択肢は5番が正解だ」という場面に遭遇することも少なくありません。
条文の理解
読解力の強化は必要ですが、問題を解いていく上で、解答を導き出す為の根拠となる条文の勉強、理解も必要です。
ただし、ただ条文にかかれている文言を、歴史の年号を覚えていくような丸暗記勉強方法はオススメしません。
本試験では複雑な応用問題や記述問題を解いていかなければならないため、条文の意味をしっかり理解しているかが凄く大事です。
- この条文は「誰を守り」
- 「誰に義務を課している」のかを理解、
- この条文とある条文の関係性を意識
- 実際の自分に身近な例(例えば、相続問題だったら、自分が亡くなった時の相続人は誰か?)に当てはめる
の5点を意識することで、条文の理解が一気に深まります。
初心者向けのテキストは、イラストやマンガなどで条文ごとの関係性や具体例が描かれており文字だけでなく、絵・イメージとしても理解することができ、より多角的に条文理解が可能です。
条文のあてはめ(思考力の強化)
高得点を取るためには読解力を活用しながら条文を理解した後で、理解した条文を問題の選択肢に当てはめて正解の肢を選ぶ条文当てはめ(思考力の強化)が必要です。
条文のあてはめ作業(思考力の強化)の勉強方法は過去問です。実際の本試験と同じレベルの問題を解きながら、こういった問題にはこの条文が当てはめられる、あの問題にはあの条文を当てはめて考えるといった作業を繰り返しながら、思考力の強化を行いましょう。。
読解力や思考力の強化というと、ちょっと難しく聞こえるかもしれません。
しかし、初心者向けのテキストには、欄外や各項目の最初に「何を守るためを目的としているか」といったことがガイダンスとして掲載されていることが多いのでご安心下さい。
行政書士試験における民法は、条文の穴埋め問題ではなく、具体的な事件を提示した上で、民法の条文に当てはめ問題を解いていく、あるいは正解の選択肢を選ぶ事例式問題が比較的多く出題される傾向にあります。
高得点をとるポイントは
- 出演人物が誰のことを差しているのか
を読み解けるかです。
近年は長文問題が出題傾向が高いため、
- 問題文の人間関係も理解・把握しながら
読み解いていくことは必須スキルとなります。
本試験で事例式問題に出くわしたら、
- 問題を読み、人間関係や何を問うているかを理解する(読解力)
- 今まで覚えた条文などから、どれを活用して答えを導き出すかを考える(思考力)
の2段階のプロセスを意識しましょう。
読解力・思考力の強化は民法そのものを理解する上で不可欠な要素です。
行政書士の民法科目過去問:平成元年第34問選択肢1をもとに過去問のやり方を解説
- 読解力
- 条文の理解
- 条文のあてはめ(思考力の強化)
の3つの具体的な使い方について、平成元年第34問の選択肢1で出題された過去問を例に解説していきます。
土地が甲・乙・丙と順次譲渡され、丙が登記を済ませた場合、甲が詐欺を理由に甲乙間の契約を取り消したときは、甲は善意の丙に対抗できる。
読解力
甲・乙・丙の関係性の理解が大事です。
甲→乙→丙という図式が成り立ちます。
つまり、
- 甲は丙(乙ではありません!)に契約の取り消しを対抗(主張)できるか
がこの問題では問われています。
条文の理解
数ある民法の条文の中で、今回採用すべき条文は民法96条(詐欺又は脅迫)です。
- 詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
- 相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知っていたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。
- 前2項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意の第三者に対抗することができない。
条文のあてはめ(思考力の強化)
土地が甲・乙・丙と順次譲渡され、丙が登記を済ませた場合、甲が詐欺を理由に甲乙間の契約を取り消したときは、甲は善意の丙に対抗できる。
甲は詐欺を理由として甲乙の契約を取り消しました。
このことは、96条1項「詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる」にも明記されているとおり有効です。
しかし、問題は甲乙間ではなく、甲丙間を問うているため、96条1項は適用されないと解釈できます。
なぜなら読解力でお伝えした通り、
- 甲→乙→丙
という図式であるため、甲乙間と乙丙間以外では有効でないからです。
そして、96条3項に「善意の第三者に対抗することができない」とあります。
問題文をよく見ると、「善意」の丙と記載してあります。
従って、この選択肢は対抗できない=×と解答することができます。
行政書士の民法の記述対策
記述問題における試験対策に特別な必要なことはありません。
択一だろうと、記述だろうと、民法の中身が変わりません。
時間に限りがある社会人の方は択一式と記述式を別々勉強するよりも、択一式と記述式をまとめて勉強するほうが効率的です。
記述対策としては、
- 解答に書く内容を整理する
- 長文問題への対応
- 40字にまとめる要約力
の3つが重要となります。
効率的に勉強するためには、条文丸暗記ではなく理解しながら勉強することが記述式対策でも選択式と同様に大切となります。
解答に書く内容を整理する
ポイントは、問題を読みながら
- 何を問うているかを理解しながら(読解力)
- 解答欄に書くべきキーワードを思い出す(思考力)
の2点です。
キーワードとは何か
キーワードとは、テキストに赤字や太字などで記載されている事柄です。
本番の試験でも、解答欄に書かれた事柄が、全体としてはなんとなく正解していても、肝心のキーワードか書かれていなかった場合、高得点は望めません。
逆にキーワードさえ書けていれば、40字にまとまっていなかったとしても、場合によっては文章ではなく箇条書きだったとしても、一定の配点はされる可能性があります。
長文の問題文への対応
記述式問題における長文問題でも、択一式と同様です。
- 登場人物の人間関係性を把握したり(例えば、誰が買主で、誰か売り主か)、
- 問題の出題者は何を問うてきているか
を問題文を読み進めていきましょう。
問題文にチェックをつけたり、余白に図式を書きながら問題文を読んでいく方法もオススメです。
40字にまとめる要約力
五肢択一式における解答方法と唯一異なるのが40字にまとめる作業です。
40字というのは、人によっては短くも感じ、または人によっては長く感じることでしょう。
ポイントは、
- キーワードは決して省略してはいけないこと
- 主語や接続語は書くべきか否か
を実際の過去問や記述式の問題集を解きながら、「40字にまとめる」作業に慣れていきましょう。
行政書士の民法科目の記述式対策:平成25年第46問選択肢1をもとに過去問のやり方を解説
選択式同様に記述式対策においても
- 読解力
- 条文の理解
- 条文のあてはめ(思考力の強化)
の3つの具体的な使い方について、平成25年第46問の選択肢1で出題された過去問を例に解説していきます。
Aの指輪が、Bによって盗まれ、Bから、事情を知らない宝石店Cに売却された。Dは、宝石店Cからその指輪を50万円で購入してその引渡しを受けたが、Dもまたそのような事情について善意であり、かつ無過失であった。
盗難の時から1年6か月後、Aは、盗まれた指輪がDのもとにあることを知り、同指輪をDから取り戻したいと思っている。
この場合、Aは、Dに対し指輪の返還を請求することができるか否かについて、必要な、または関係する要件に言及して、40字程度で記述しなさい。
解答に書く内容を整理(キーワードは何か)
これまで覚えた知識から、本問題を解く際にカギとなる知識(条文や判例など)を思い出すと
- 民法第193条
- 民法第194条
が該当します
前条(即時取得)の場合において、占有物が盗品又は遺失物であるときは、被害者又は遺失者は、盗難又は遺失の時から二年間、占有者に対してその物の回復を請求することができる。
民法第193条
占有者が、盗品又は遺失物を、競売若しくは公の市場において、又はその物と同種の物を販売する商人から、善意で買い受けたときは、被害者又は遺失者は、占有者が支払った代価を弁償しなければ、その物を回復することができない。
民法第194条
ここまで思いだせれば、あとは2つの条文をまとめれば大丈夫です。
ポイントは、
・盗品は(つまりBに盗まれたA)2年間回復を請求することができる
・占有者(つまり今回はD)が善意の場合は、支払った対価を弁償しなければならない
です。
長文問題への対応
長文の場合は、問題文の出演者の関係を図式を書きながら読み進めるのがポイントです。
誰の立場にとって答えを書けばいいのかを考えましょう。
盗まれたA、それとも(善意の)買主であるD?
問題文には「この場合、【Aは】・・・」とあるので、Aの立場から上記2つのポイントを押さえて解答しなければなりません。
仮に上記2つの条文に沿った回答をしても、問題で問われている立場(今回は宝石を盗まれたA)にとって解答しなければ、違った結論になり、不正解になってしまいます。
下書き用紙に、「Aは」と予め書いておくことで解答の方向性を間違えない対策の1つとなります。
40字にまとめる要約力
そこで、Aの立場から見た場合、次のように回答できます。
【 】が点数を取る上で欠かすことのできないポイント(=解答に書く内容を整理(キーワードは何か)で触れた箇所)です。
解答例1
Aは、盗難の時から【2年間】、Dが支払った【代価を弁償】して、Dに対し指輪の返還を【請求できる】。
解答例2
Aは、【6ヶ月以内】にDに50万円を【支払って】、所有権に基づき返還を【請求することができる】。
※解答例はいずれも行政書士試験研究センターによるものです。
まとめ
行政書士の民法科目で高得点を叩き出すには、条文の丸暗記ではありません。
重要なのは、条文ごとの背景や何を保護対象にしているかといったことを把握する為に読解力・思考力を活用することです。
さらに、自分の身近な例に例えるなどのイメージ化作業も行いながら、勉強を進めていくのが民法を理解していく上でのコツ。
具体的な方法として、
- 読解力
- 条文の理解
- 条文のあてはめ(思考力の強化)
の3つを意識して勉強を進めましょう。